人身傷害補償特約の基本と適用範囲
人身傷害補償特約とは、契約中のバイクに搭乗中の運転者や同乗者が事故でケガや死亡をした際に、治療費・休業損害・慰謝料など実際にかかった損害額を、相手の過失割合に関係なく自分の保険から受け取れる特約です。自賠責保険が適用できない単独事故や当て逃げの場合でも支払われ、示談成立前でも給付されるため、医療費の立替や生活費の不安が軽減されます。ただし、故意・酒気帯び運転など道路交通法違反や重大な過失がある場合は補償対象外です。
示談前給付のメリットと注意点
示談前に保険金が受け取れる最大のメリットは、加害者側の示談交渉が長引いても治療や休業損害をすぐ補填できる点です。一方で、示談後に加害者保険金を受領すると、先に受け取った人身傷害保険金が差し引かれる約款が依然多く残ります。近年は「裁判判決または和解」で最終的な損害額を確定し、差額を支払う約款を採用する会社が増えていますが、ADR(裁判外紛争解決手続)や示談交渉だけでは従来の差引規定が適用される場合もあるため、加入時に約款条文を必ず確認しましょう。
後遺障害認定後の請求フローと必要書類
後遺障害が認定された場合の手順はこちら。
- 自賠責保険への被害者請求(後遺障害等級認定取得)
- 人身傷害補償特約への請求(自賠責との差額を受給)
請求に必要な書類は主に以下です。
- 後遺障害診断書
- 医療費領収書・明細書
- 休業損害証明書(給与明細や源泉徴収票など)
- 交通事故証明書
- (新約款適用時)裁判判決書または和解契約書
事故から3年以内に請求しないと時効になりますので、書類不備がないようチェックリストを活用して早めに手続きを進めましょう。
加入時のチェックポイントと特約組み合わせ術
加入前には補償限度額(例:1,000万円/2,000万円)と免責金額の有無を比較検討します。自己負担が大きいプランは保険料が安い反面、支払い時の負担増を招くため、ライディングスタイルに合わせた設定が重要です。
また、以下の特約を組み合わせると安心度が高まります。
- 弁護士費用特約:示談交渉の際、弁護士費用を保険でカバー。
- 無保険車傷害特約:相手が無保険の場合も死亡・後遺障害を補償。
- ロードサービス特約:レッカー搬送やバイク引取費用を補償。
- 傷害一時金特約:ケガの程度に応じて定額一時金を受け取り可能。
健康告知が簡易なプランや、免責金額ゼロのプランもありますので、見積もりを複数比較し、ご自身の予算・リスクに合った組み合わせを選びましょう。これらを踏まえれば、人身傷害補償特約は万一のケガや後遺障害リスクに備える心強いオプションとなります。